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価格:未定
発売日:2017年06月(予定)
発売元: 株式会社ジェットマン×宝塚大学
まずはこのVRゲームのムービーをご覧ください!
悪夢のように息づく九龍城
『クーロンズゲートVR』は1997年にPlayStation用ソフトとして発売された作品を
VRへ対応させたリメイクとなります。
20年前というと時代を感じさせるものですが、
本作の魅力は時代を超えるものと言えるでしょう。
独特のゲーム性や雰囲気はこのゲームにしか無く、
他のゲームとは比べられない存在となっています。
ジャンルはアドベンチャーゲームで、特定の場所に居る住人と会話しつつストーリーを進め
簡易的な戦闘をこなしゲーム世界の謎を解いていくという形式になっています。
これだけ聞くと普通のアドベンチャーゲームと思われるかもしれませんが、決してそうではありません。
舞台は不穏な雰囲気が漂い永遠に続くような九龍城で、
そこには異形の住人たちが住んでいます。戦闘シーンはまるで悪夢そのものといったものとなっており、
ダークで生き生きとしたVRゲームとなっているのです。
クラウドファンディングで資金達成
2016年9月13日から2016年11月27日にかけて、
クラウドファンディングサイトの「campfire」にて『クーロンズゲートVR』のクラウドファンディングが募られました。
そしてその結果、目標金額の300万円を大幅に超える9,077,255円が集まったのです。
開発資金としては当初計画していた金額の3倍以上となり、
プレイヤーの期待が大きいことが伺えます。
発売開始から20年経過した現在でも多くのファンが居て、新作を待ち望んでいたのでしょう。
それがしかもVRというジャンルであることはファンにとってたまらないものがあるわけです。
あの暗くて怪しい中華街に没入することができるということは
悪夢でもあり喜びでもあるのです。
他では見られないような世界観
物語のモチーフは風水で主人公は風水師となります。
陽界に現れた陰界の存在「九龍城」へ赴くところからストーリーは始まることとなるのです。
暗い路地を進み住人に話を聞きながら次第にその深部へ歩を進め、
やがて世界はますます狂ったものとなっていくでしょう。
ちなみに九龍城というのは実際に香港に存在していたスラム街です。
元々軍事要塞だったこの土地に歴史の流れから膨大な量の難民がなだれ込み、
増築に増築を重ね1つの巨大な建造物となりました。
その雰囲気は陰気であり明るくもあり、独自の社会を形成していたのです。
また、このゲーム世界の住民は超細部化された分業体制を敷いています。
例えば「魚屋」ではなく「エビ剥き屋」が居たり「ビン屋」が居るのです。
こうした極所的な、一般性とはかけ離れた分業体制はより個の世界に近いものと言え、
それが次に述べる「妄人」に繋がるのかもしれません。
かつて日本にも「いかけ屋」や「羅宇屋」を始めとして
「きゅうり屋」や「カツオ屋」など様々な専業商売がありました。
時代と共に淘汰された消え去った個性がこのゲーム世界には残されているのかもしれません。
妄人の素晴らしさ
陰界に漂う邪気は住人に対して大きな影響を与え、
やがて「妄人(わんにん)」を生み出すようになりました。
妄人とは「人でありながら物」な存在で、フォルムはなかなかグロテスクなものとなっています。
簡単に言うと自分が執着していた物と同一化し、
携帯電話の妄人や発電機の妄人となるわけです。
その姿は人とはかけ離れたものとなっていますが、
当人はそこまで深刻に捉えていなかったりもします。
妄人は個人的な世界へ閉じこもった人の結晶と言えるでしょう。
現代ではインターネットの発達によりどこでも誰とでも繋がれるようになり、
個を意識することが少なくなりました。
集団にとって個は異質で嫌悪されるものなので、
より平均化、一般化するうちに強烈な個性をもった存在は次第に姿を消して行ったのかもしれません。
そんな現代の潮流と真逆の世界観が展開されているのが『クーロンズゲートVR』なのです。
人間個人の世界を具現化した姿である妄人は、
物そのものではなくあくまで「人と物の中間」です。
そして物にならないように、常に妄想をし続けなければいけません。
人にしかできない「妄想」を止めてしまえば物そのものになってしまうのです。
充足しているような、追い詰められているような、
それでいてどこか気楽に考えているような、個性に満ちた存在と言えるでしょう。
かつて存在した不思議なゲームたち
『クーロンズゲート』のように、それぞれ比肩せず独自の世界をもったゲームがありました。
生と死を繰り返しつつ狂った地下世界へ潜り続ける『バロック』や
異形となり閉鎖空間を探検する『ガラージュ』
それから奇怪なデザインのキャラクターが多数登場する世界でタマシイを取り戻す旅に出る『東脳』など、
どれも素晴らしい作品です。
もしこれらの作品に惹かれた方や、
興味を持った方にとって『クーロンズゲートVR』はお気に入りの作品になるかもしれません。